子どもを守る「スクールゾーン」とは?規制内容や気を付けるポイントを解説

2023年10月18日

日頃から安全運転を心がけているドライバーの方であれば、子どもたちが登下校する時間帯は、より慎重にハンドルを握っていることでしょう。今回は、子どもたちの登下校にかかわる「スクールゾーン」について、背景や目的、規制内容、スクールゾーンを走行する際の注意点などを解説します。この機会にスクールゾーンの意味を再確認してみましょう。

「スクールゾーン」とは

スクールゾーンの歴史は古く、昭和45年(1970年)に公布された「交通安全対策基本法第二十四条」を根拠に、2年後の昭和47年(1972年)の「春の全国交通安全運動」で運用が開始されました。当時は、モータリゼーションの高まりとともに車を所有する世帯が全国で急増し、交通環境の整備を急ぐ声が高まっていたのです。こうした時代背景の中で、子どもたちが利用する通学路や生活道路が交通安全対策の重点地域として位置づけられるようになり、誕生したのが「スクールゾーン」です。近年に至るまでに「生活ゾーン」「コミュニティゾーン」「あんしん歩行エリア」「ゾーン30」といった同様の趣旨を持つ重点地域が設けられましたが、スクールゾーンはその始まりと言えます。

スクールゾーンの範囲、標識、
路面標示について

スクールゾーンの範囲

スクールゾーンの範囲は、小学校を中心とした半径500m程度の通学路が対象です。このエリアでは、横断歩道やカーブミラーが多く設けられ、歩道もほかの生活道路より広く設定されています。さらにスクールゾーンであることを示す標識や路面標示も要所要所に用意され、ドライバーに対して注意喚起をしています。

なお、自治体や地域によって小学校の通学路に加え、幼稚園や保育園の通園に利用する道路も対象となっているケースもあります。どこにどのようなスクールゾーンがあるのかを詳細に知るには、各自治体に問い合わせるとよいでしょう。

スクールゾーンの標識・路面標示

スクールゾーンの標識には、黄色いひし型プレートに2人の子どものシルエットが描かれた警戒標識(学校・幼稚園・保育所等あり)が使用されます。また、通学路に設置する場合は、「通学路」と書かれた補助標識もセットで使用されます。

そのほか、歩行者優先道路や歩行者専用道路などの規制標識、スクールゾーンを示す路面標示などと合わせて注意喚起します。路面標示は、白い「スクールゾーン」という文字に加え、歩道部分の安全性を強調する道路へのカラー塗装(明るい緑色)をするのが一般的です。そのほか路面シートを貼る場合もあります。

ただし、規制標識の組み合わせや路面標示の形・色などは、自治体ごとに異なり、必ずしも同一ではありません。警戒標識のほか、以下のような標識や路面標示を見たら「近くに学校があり、子どもが飛び出してくる可能性が高い」と考え、指示に従いましょう。

スクールゾーンの規制内容について

スクールゾーンの規制内容には、「一方通行」「速度制限」「登下校時間帯の車両通行禁止」などがあり、それらが組み合わされていることが一般的です。ただし、規制内容もまた各自治体や地域で異なるので、スクールゾーンを示す標識や路面標示が視界に入ったら注意深くチェックしましょう。

なお、通行禁止となる時間帯は、登校時にあたる朝の7時から9時30分までの間で設定されていることが多いです。また、仮に車両通行が可能な場合でも、その時間帯に限って速度規制が設けられたり、一方通行となることもあるので決して気は抜けません。標識や路面標示をよく確認して規制に従って安全運転をするようにしましょう。

また、自転車の通行については、多くのスクールゾーンで許可している場合がほとんどです。ただし、通学する子どもたちが通る道路なので、いつも以上にスピードを落とし、安全に通行する必要があります。また、「車両通行止め」「自転車通行止め」「歩行者専用道路」の道路標識がセットで設置されている場合は、自転車で通行できないので注意が必要です。自転車も自動車同様、交通ルールを守って通行することが大原則です。

指定時間にスクールゾーンを通行してしまったら?

一部の例外はありますが、スクールゾーンでは子どもたちの登下校に合わせ通行禁止の時間が定められているのが普通です。つまり、時間限定の「歩行者専用道路」という位置づけです。うっかり交通標識を見落としてスクールゾーンを通行し、スクールゾーンで定められている規制に違反した場合、交通反則通告制度の通行禁止違反の対象となり、普通車であれば反則金7,000円を納付する必要があります。また点数制度により、違反点数が2点付加されます。

スクールゾーンの通行には
「通行禁止道路通行許可証」
が必要

通行禁止に指定された時間でも例外的にスクールゾーンを通行できる車両があります。それは、消防車や救急車などの緊急車両と道路工事を行うための車両です。その他、「通行禁止道路通行許可証(以下「通行許可証」という。)」を受けた車両がこれに該当します。この通行許可証は、スクールゾーン内に住まいや車庫があり、日常的に規制区域内を通行しなければならない場合、歩行困難な人を自動車で送り迎えする場合、貨物の集配や冠婚葬祭などどうしても区域内を出入りする場合に不可欠となります。

通行許可証を取得するには管轄の警察署(交通課)で発行の手続きを行わなければなりません。通行許可証なしにスクールゾーンを通行すれば、地域住民でも前述の交通反則通告制度が適用されるので注意が必要です。

通行禁止道路通行許可証を申請できるケース

  • 自動車を車庫や空地などの保管場所に保管するため出入りする場合
  • 歩行が困難な状態にある人を輸送しなければならない場合
  • 貨物の集配や冠婚葬祭等社会慣習上やむを得ない事情がある場合

通行禁止道路通行許可の申請に必要な書類

  • 通行禁止道路通行許可申請書(管轄警察署のサイトからダウンロード可)
  • 主な運転者の自動車運転免許証の写し
  • 自動車検査証の写し
  • 通行経路略図
  • 通行を禁止されている道路や区域を通行しなければならない理由を記した書面

申請方法は管轄の警察署により異なるため、詳しくは管轄の警察署に確認してください。

なお、申請手続き後は、「通行禁止道路通行許可証」と、「通行禁止道路通行許可車と書かれた標章」の2点セットで交付されるので、許可された区域を通行する時には通行許可証を車に備え付けておき、標章は車の前面から見やすい場所に掲出するようにしましょう。

許可を受けた通行禁止道路が歩行者専用道路の場合、「歩行者用道路通行許可車」と書かれた標章が交付されます。

もし許可を受けていたとしても、通行許可証を携帯していない場合や標章を掲示していない場合は違反とみなされるので注意しましょう。

まとめ 
~標識や路面標示の確認を怠らず、安全運転を心がけましょう~

スクールゾーンの目的や規制の内容を知れば知るほど、スクールゾーンが子どもたちの安全を守るのに欠かせない存在であることに気付かされます。ぜひ、自分の住んでいる地域にスクールゾーンが設置されているか、また、どのような規制になっているか確認してみてください。この機会に安全運転への意識を高めましょう。

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もしかもプロジェクト

本記事の情報は2023年9月末時点での内容です。

監修:三木宏章

月刊自動車雑誌の編集者としてキャリアをスタート。編集プロダクションにて約7年間、チューニングカー雑誌を担当するなどをしたのちに、現在はコンテンツディレクター兼ライターとして活動中。自動車業界はもちろん、日本のものづくりを支える製造業のコンテンツ企画・ライティング実績も豊富。

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