一時停止とは?正しい知識と違反したときの罰則について解説!

2023年10月18日

運転しているとよく見かける「止まれ」と書かれた一時停止の道路標識や路面標示。ドライバーなら自然に停止して左右確認してから通行しているはずですが、慣れにより一時停止や安全確認を怠ったり、走り慣れない道路で停止位置が分からなくなったりすることもあるでしょう。

一時停止は、違反種別のなかでも最も多く取り締まられており、違反すれば重大な交通事故につながる可能性もあります。そこで今回は、一時停止の正しい知識や違反したときの罰則などを解説します。

「一時不停止」による
違反取締り件数は最多

最高速度違反に次いで違反数が多い「一時不停止」

一時停止の道路標識や路面標示は、事故が発生しやすい信号機のない交差点や見通しの悪い路地や合流に設置されています。運転していると見逃してしまうこともありますが、一時不停止は大きな事故につながる可能性があります。

上のグラフは、令和4年警察白書の「違反種別ごとの交通違反取締り状況(令和2年および令和3年)」 を元にしたもので、一時不停止の取締り件数は令和2年が1,604,972件、令和3年が1,588,628件と、いずれも違反種別のなかで最も多いです。

さらに、警察庁「令和4年中の交通事故の発生状況」 の「原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別交通事故件数の推移」によれば、令和4年に一時不停止が原因で起きた事故は12,376件です。平成24年の25,797件に比べると、10年で半数以下に減少しています。しかし、一時不停止による事故件数は、最高速度(令和4年304件)や信号無視(令和4年10,198件)など、ほかの交通違反による事故件数より多く、一時不停止は重大事故につながりやすいといえるでしょう。

一時停止とは?
正しいルールについて

通常は、信号のない交差点や路地の手前など、事故が発生しやすいところが一時停止指定場所になっています。そこで、一時停止の正しいルールについて説明します。

一時停止の定義

一時停止は、道路交通法(以下「道交法」という。)で以下のように定められています。

道路交通法 第四十三条

(指定場所における一時停止)

車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

「車両等」とは、自動車・原動機付自転車・軽車両・トロリーバスを指し、「交通整理の行われていない交差点」は、3灯式の信号が設置されていない交差点と、警察官が手信号などで交通整理を行っていない交差点を意味します。信号機が設置されていても点滅信号と、交差する片側の道路だけ信号機がある道路は、交通整理が行われていない道路となります。

ここでポイントになるのは、交通整理が行われていない道路では、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは一時停止しなければいけないということです。また、停止線がある場合はその直前、停止線がない場合は交差点の直前で一時停止することが義務付けられています。

一時停止の標識

道路標識は、主に案内標識・警戒標識・規制標識・指示標識の4つに分類 されます。一時停止は、ドライバーに禁止事項を知らせる「規制標識」の一つです。

赤地に白文字で「止まれ」、「STOP」と書かれた逆三角形の標識 が「一時停止」を意味します。標識のほか、道路上に「止まれ」とペイントされている場合もあります。

一時停止の停止位置と
停止時間について

一時停止と聞くと、漠然と「少し止まって安全確認をする」というイメージがありますが、具体的にどこで、どれくらい停止すればよいのか説明するのは難しいものです。一時停止の位置と停止時間について解説します。

一時停止する位置

一時停止の位置は、「道路標識等による停止線がある場合はその直前、道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前」になります。停止線を超えてしまったり、タイヤで踏んでしまったりした場合は、一時停止と認められません。また、ゆっくり進み、完全に停止していない場合も一時停止にならないので注意してください。このような場合は、取締りの対象になります。

停止時間

停止時間については厳密な決まりはありませんが、安全確認のために一時停止するので1秒未満では短すぎます。完全に停止して、左右と前方の安全確認をしてから発進するには、数秒間は必要だと思われます。

一時停止に関する義務違反の
反則金と点数について

「指定場所一時停止義務違反」と似た罰則として、踏切直前での一時停止を怠った場合の「踏切不停止等違反」も存在します。違反点数は、どちらも「2点」となりますが、反則金の金額が異なります。反則金の支払いは、コンビニエンスストア等では対応していません。銀行や郵便局などの金融機関で、指定された期日までに納めましょう。

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違反点数 反則金
大型車 普通車 2輪車 特殊小型車 原付
指定場所
一時不停止等違反
2点 9,000円 7,000円 6,000円 5,000円 5,000円
踏切不停止等違反 2点 12,000円 9,000円 7,000円 6,000円 6,000円

平成31年4月1日施行 道交法施行令を基に作成

歩行者や自転車の一時停止について

まず自転車は、道交法で「軽車両」に該当するので、一時停止の義務が発生します。ただし、自動車と異なり、交通反則通告制度が適用されません。 そのため一時停止違反には、点数と反則金ではなく、即座に「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」が課せられます。

自転車も一時停止せずに交差点に侵入すれば危険ですし、一時不停止で事故を起こせば自転車でも責任が問われます。 自転車については、道交法改正により平成27年6月1日から「自転車運転者講習制度」が施行されています。3年以内に2回の取り締まり、または2回以上交通事故を起こした運転者は「自転車運転者講習」を受けなくてはなりません。自転車でも重大な事故を引き起こした場合は、自動車の場合と同様に刑事処分を受けることとなります。

一方で歩行者は、車両に含まれないので一時停止義務がありません。しかし、急に道路を横断したり、左右の確認をせずに横断歩道を渡ったりすれば危険です。自分の身を守るため、しっかりと安全確認してから横断等をしましょう。

まとめ 
~一時停止のルールを守って、
安全確認を徹底しましょう~

ドライバーにとって一時停止のルールを守ることは義務です。一時停止の指定場所は、必ず危険が潜んでいるので、止まって安全確認しましょう。「かもしれない運転」を実践し、安全にドライブを楽しみましょう。

本記事の情報は2023年9月末時点での内容です。

監修:鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するのを目標とする。

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