フォグランプの正しい使い方
~視界不良でも安全運転を~

2023年10月18日

濃い霧や激しい雨で視界が悪いときに安全運転をサポートしてくれる「フォグランプ」。ドライバーにとってはとても頼もしい存在ですが、本来の役割や使い方を知らないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、フォグランプの役割や使い方、装着方法などの基礎知識を解説します。

フォグランプって何?

フォグランプの「フォグ=fog」は、英語で「霧」という意味です。フォグランプは、日本語で「霧灯(むとう)」と呼ばれます。その名の通り、濃い霧が発生した際などに点灯させて、視界を確保する重要なランプです。霧が発生しているときに視界を確保する以外に、豪雨や降雪などで視界が悪いとき、対向車に自分の存在をアピールして接近を知らせる役割もあります。

例えば、濃い霧や激しい雨の夜などにヘッドライトをハイビームにして走行すると、霧や水滴に光が当たって乱反射を起こし、対向車のドライバーを眩惑させてしまいます。対向車のドライバーが視界を奪われて危険です。そこで対向車や先行車がいる場合、通常は眩しくないようにロービームで走行します。しかし、濃い霧や激しい雨のときは、ロービームだけでは視界が確保しにくいという問題があります。そこで登場するのがフォグランプです。フォグランプは、一般的にヘッドライトよりも低い位置に取り付けられているので、天候が荒れているときでも路面を効率的に照らすことができて安全です。また、装着位置が低いので対向車のドライバーの視界を妨げにくいというメリットがあります。

フォグランプは常時点灯せず、
視界不良時のみ使いましょう

フォグランプは濃霧や雨天、降雪で視界不良のときに使用しましょう。よく、昼夜問わず常に点灯している車も見かけますが、それは間違いです。視界の良いときに点灯すると、対向車や先行車が眩しく感じ、迷惑がかかります。安全運転のためには、周囲の車への配慮が大切です。「相手が眩しいかもしれない」と思ったらフォグランプは消す、「自分の車が対向車や先行車に見えづらいかもしれない」と思ったら点灯するようにしましょう。

ちなみにフォグランプと同様に周囲の車に存在を伝える装備として、「バックフォグランプ」というものがあります。「リアフォグランプ」といわれることもあり、寒冷地仕様の車に対しオプション装備になっていることが多いです。これも濃霧や雨天、降雪で視界が悪いとき、後続車に自分の存在を伝えるものなので常時点灯は厳禁です。

フォグランプ以外の
ランプ・ライトとの違い

車には、フォグランプのほかにヘッドライトやスモールライト(別称「ポジションランプ」。以下同じ。)、ウィンカーなどのランプ・ライトを装備しています。

ヘッドライト

ヘッドライトは、路面を照らすことが主な役割です。ハイビームとロービームがあり、交通量の多い市街地の走行や対向車がいる場合は、眩惑を防ぐためにロービームを使用します。それ以外の郊外や高速道路では、視界を確保するためにハイビームにするなど、使い分けをしましょう。

すでにご説明したとおり、フォグランプは濃霧や雨天時など視界が悪いときに補助灯として使用するものです。ヘッドライトもフォグランプも前方視界を確保するという意味では似ていますが、光の特性は大きく異なります。フォグランプの照射パターンは、ヘッドライトと異なり左右に広いのが特徴です。上下方向に光が拡散しないような指向性があり、ドライバー前方の霧や水滴への直接的な照射を回避して乱反射による視界悪化を防ぎます。

このようにヘッドライトとフォグランプとでは、目的と機能が大きく異なります。ヘッドライトが夜間に前方の視界を確保し、対向車に自分の存在をアピールするためのものであるのに対して、フォグランプはヘッドライトよりも低い配光で、霧や豪雨、降雪による視界不良を改善し、同時に対向車へのアピールをより確実にするためのものです。

スモールライト

スモールライトは、前方を照らすものではありません。車幅を確認したり、対向車やバイク、自転車に対し、車の存在を知らせたりする役割です。少し暗くなってきた夕方にスモールライトだけ点灯し、走行している車がいますがそれは間違いです。少しでも暗くなってきたら、きちんとヘッドライトを点灯して視界を確保しましょう。

フォグランプの装着義務はない

フォグランプとヘッドライト、そしてスモールライトの違いをご紹介しました。目的や特性のほかにも違いがあります。例えば、ヘッドライトは保安部品として装着義務がありますが、フォグランプは保安部品ではなく装着義務がありません。ちなみに保安部品とは、公道を走行する車両の安全を確保するために法令で装備が義務付けられている部品のことです。ライトまわりで言えば、ヘッドライト、ターンシグナルランプ(方向指示器)、ブレーキランプ、テールランプ、ナンバープレート照明灯が該当し、公道を走るためのすべての自動車に装着が義務付けられています。

一方、フォグランプは、保安基準はあるものの保安部品ではないので、装着していなくても公道を走行できます。市販車では装着されず、オプション設定になっているケースが多いです。ちなみに購入後に装着することもでき、カー用品店にいろいろなタイプが売られているので、気になる人はチェックしてみましょう。

標準装備でない車に
フォグランプを後付けする方法

フォグランプが標準装備されていない車両でも後付けで装着することは可能です。フォグランプは、上級グレードで標準装備になっていたり、オプション設定されていたりすることがあり、そのような車種はフロントバンパーに取り付けスペースが予め設けられています。このような車種であれば、フォグランプの後付けも比較的簡単です。取り付けスペースに合ったサイズのフォグランプを選び、固定すれば簡単に後付けすることができます。

その際に注意したいのが車検に適合しているかということです。新車装着と同様、後付けのフォグランプも車検時に検査されるので、保安基準を満たした製品かつ取り付け方法であることが絶対条件です。保安基準に適合していない場合、車検に通らないばかりか、警察の取締りで整備不良等の指摘を受ける可能があります。なお、フォグランプの保安基準は下表の通りです。後付けの場合も下記の基準に適合するよう慎重に装着するようにしましょう。

フォグランプの保安基準

項目 詳細

【フロント】「白色」または「淡黄色」 【リア】「赤色」のみ

配置

左右対称(左右ともに同色であること)

フロント×2 リア×2

明るさ

1万カンデラ以下

光の向き

取付位置

【フロント】

  • ヘッドライトより下であること
  • 地上高25から80cmの範囲

【リア】

  • 地上高25から100cmの範囲
  • ブレーキランプよりも10cm以上離れていること
作動条件・

その他
  • ヘッドライト点灯時のみ点灯し、ヘッドライト消灯時には点灯しないこと
  • テールランプ(尾灯)より明るいこと

まとめ 
~霧や雨、雪で視界が悪いときの強い味方~

フォグランプは必ずしも自動車に装着しなければならないものではありません。しかし、霧や豪雨、降雪で視界不良の際には安全走行を助けてくれる頼もしい味方になってくれるはずです。しかし、フォグランプの役割や正しい使い方を知らないと、まわりの車に迷惑をかけてしまう可能性があります。すでに自分の車にフォグランプが装備されているという方も、これから取り付けようと考えている方も、正しいフォグランプの使い方を理解し、安全運転に役立てましょう。

本記事の情報は2023年9月末時点での内容です。

監修:三木宏章

月刊自動車雑誌の編集者としてキャリアをスタート。編集プロダクションにて約7年間、チューニングカー雑誌を担当するなどをしたのちに、現在はコンテンツディレクター兼ライターとして活動中。自動車業界はもちろん、日本のものづくりを支える製造業のコンテンツ企画・ライティング実績も豊富。

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